A New Musical「ゆびさきと恋々」感想レポ
Woooooooooo,Mambo!!!!
まあちょっと聞いてくださいよ。
池岡さんに会えなくなってから1年と数か月。
その間、中止・延期されてしまった舞台、現場で見られなかった舞台、併せて5本。
「ごめんなぁ推し 今は一緒にはいられないんだよ
でもいつでも私は推しのことを思っているから…
忘れることなんてない どんな時も心はそばにいる
だからどうか許してくれ」
って気持ちでいたわけですよ(※花江夏樹さんボイスでお願いします)
本当なら、東京の劇場は連日盛況で。
本当なら、その座席の黒い頭の一つは私で。
本当なら、推しが板の上で輝く姿をまぶしく見つめていて。
公演中止なんて、観劇自粛なんて、想像することもなかった。
本当なら………本当なら!!
そんな矢先に池岡さんの出演が発表されたミュージカル「ゆびさきと恋々」。
沸きました。
発売日の3月には奇跡を信じてチケットを申し込みました。
1年ぶりに発券したチケットはじんわりと重かった。
でも………でも、もうMamboが発令された!!
戻ることはできない!!!
(※Mambo=まん延防止措置が本県にも適用されて県外との往来が制限された)
…はい、というわけで、今回もライブ配信で参戦することにいたしました。
配信してくださることが本当にありがたいです。しかも1週間アーカイブが見られるという大サービス。
振り返らず走る炭治郎にはなれない私も少しは慰められるというものです。
この悔しさをバネにその後ワクチン即接種しましたので、このままの勢いでコロナをぶちのめそうと思います。
お前なんかこうだ!!!こうなって当然だ!!!!もう立ち上がるな!!!
(突然のエレン)
●公演概要
日程:2021年6月4日(金)~13日(日)
☆6月12日(土)18:00 ライブ配信あり
会場:本多劇場
キャスト:豊原江理佳、前山剛久、林愛夏、青野紗穂、池岡亮介、中山義紘、上山竜治
●公式ホームページ
https://yubisakimusical.westage.jp/
●あらすじ(ホームページより)
雪(豊原江理佳)は生まれつき聴覚障がいがあり、ある日電車で外国人に道を聞かれて困っていたところを、同じ大学の先輩、逸臣(前山剛久)に助けてもらう。雪は逸臣と同じ国際サークルに所属する親友、りん(林愛夏)から逸臣のことを聞き、逸臣がバイトするカフェ・バー“ロッキン・ロビン”に行くことに。りんもその店の店長で逸臣のいとこ、京弥(上山竜治)に想いを寄せていた。
勇気を振り絞って、二人はそれぞれ念願の連絡先交換をする。自分を特別扱いせず接してくれる逸臣に雪はどんどん惹かれ恋心を自覚。
しかし幼馴染の桜志(池岡亮介)は、恋に向かって頑張る雪の姿を調子に乗っていると切り捨て、逸臣とも対立する。さらに、逸臣の高校の同級生で逸臣のことが好きなエマ(青野紗穂)と、エマを想い続ける心(中山義紘)もそれぞれの思いを胸に逸臣たちと過ごしていた。
そんなある日、雪たちはロッキン・ロビンに集まり、海外旅行中の逸臣の話で盛り上がるが……。
<全体の感想>
人気少女漫画原作のミュージカル。
聴覚障害を持つ主人公を軸にしたラブストーリーなんだけど、障害のあるなしが過度にフィーチャーされたりはせず、等身大の若者たちの恋が繊細に動く模様を軽やかに描いた作品でした。
画面(舞台)がカラフル!
登場人物の笑顔がまぶしい!
楽曲も明るくてたのしい!
初夏に吹く風のような爽やかな後味の舞台です。
どこを切っても優しくやわらかな世界と、1年間に摂取して良い量をはるかに超えた胸キュン要素、ポップで明るい正統派ミュージカルな音楽ナンバー。
エンタメの楽しみ方を忘れそうになっていた心にスッと入ってきました。沁みました。
正直胸キュンとかセーラームーンで勉強した世代のためちょっとアップデートが……その………って感じになっていたので、新たに胸キュンと邂逅するつもりで原作も既刊全巻買い求めまして。
「これが…令和の胸キュン……!」と、水の概念を獲得したヘレン・ケラー女史のように「WATER!!!!!!」ってなるなどしました。
女子組の恋に恋して「好き?」「好きかも!」「どうしたらいい!?」って飛び跳ねる瑞々しさがまぶしい。
ラストシーンは既刊にはなかったけど、ミュージカルオリジナルなのかな?
コロナ禍にも通じるような「大切な人への思いは今、伝えなければ」「当たり前だった世界はあっという間に変わってしまうかもしれない」というストレートなメッセージも伝わりました。
このコロナ禍で幕を開けてくださったことに心から感謝したいです。
公演開始前からプロモーションにも相当力が入っていて、公式SNSで稽古場風景やミニ手話動画を公開してくれていたので、ワクワクしながら当日を待つことができました。
そう、たとえそのとき傍らにはいられなくとも………(鬼滅はもういい)
池岡さんの「ご覧ください」動画かわいかった。いいね100万回。
<手話×ミュージカル>
実際に見るまでは「手話×ミュージカル」ってどんな感じ???と不思議に思っていたんだけど、むしろミュージカルであることが必然というか自然な演出で、「A "New" Musical」と銘打っているのも納得でした。
主人公の雪は聴覚障害があるので、発声や聞き取りによるコミュニケーションはできず、手話またはスマホのメッセージ機能を使って意思疎通を図ってる(これがまたスルスルと円滑)。
ストレートプレイのときはその設定に沿った演技で、スマホ画面で会話しているときはバックスクリーンにテンポよくLINEの画面が表示されていくし、手話だけで会話しているときはその手話の意味がテキスト表示される。
新感覚だけどわかりやすいし、原作の空気もしっかり持ち込めてる。
で、これがミュージカルシーンになると一変。
雪は誰よりも高らかに感情を歌い上げる。
この高鳴る気持ちが憧れか恋なのか?今、気持ちを伝えなきゃ。そんな飾らない言葉が力強い発声で歌われる。
違和感は全くなかった。原作でも雪はものすごく「おしゃべり」だし、どんどん溢れてくる気持ちを歌に乗せてくるのがとっても自然で、効果的な演出でした。
<ハンディキャップの扱われ方について>
ちょっと認識ずれてるかもしれないけれど感動したというか驚いたのは、雪が聴覚障害を持っていることが、人間関係において過度なハンディとして描かれていなかったこと。
雪の友人も、恋人になる逸臣も、初手から雪にフラットに接している。
(うろ覚えだけど、「聴覚障害」という単語すら使われていないのでは)
凡な頭で考えてしまうのは、障害や偏見を乗り越えて成就する過程とか、ディスコミュニケーションからくるすれ違いとか…、描こうと思えばいくらでもできるかもしれないけど、それって実はもうちょっと古い発想なのかも。
あくまで自然に、雪という人間と、逸臣という人間とが出会い、惹かれあい、恋愛が成立するまでの過程がそれはもうストレートに描かれる。
(もちろん、雪自身が今までの人生で、口話や読唇術を想像しがたい努力で身に着けているからこそ、というのは前提にあるけれど、)スマホを介してほぼノーストレスの意思疎通が可能になっているという点に、技術の発展の素晴らしさを感じたりする。スマホすごい。令和すごい。
雪の豊かな感情が、ボディランゲージで、表情で、またはスマートフォンを使って、純度の高いまま相手と観客に伝わることが新鮮でした。
もちろんそれは周りの人間も「雪とコミュニケーションを取りたい」と願って歩み寄るから成立することなので、この作品の豊かさ、温かさをさらに感じさせます。
まあそんなわけで大学生活を存分に謳歌している雪なので、桜志の渾身の「♪ここは雪を傷つける世界!」が、「ううむ現状一番雪を傷つけてるのは君に見えてしまうのだが……」というバグを生んでしまったりする。
「♪お前とは縁のない世界、いくら望んでも入れてはもらえない……という気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!(増田こうすけ作画)」ってなってないか。大丈夫か。
桜志どんまい。君は正しいし言いたいことはよくわかる。ここが格別やさしいせかいだっただけだよ。元気出して。
<楽曲について>
ミュージカルナンバーがとにかく明るくて楽しい!
オープニングの時点で「俺は今猛烈にミュージカルを聴いているぞ!!!」な気分になれる。
歌唱力の高い方が多いこともあり、ミュージカルの美味しいところ詰め合わせって感じ。贅沢。アンサンブルの方含め、ダンスもみんなしなやかで素敵。
「Newミュージカル」ではあるけど、ナンバーはむしろトラディショナルで普遍的な印象もあるくらいの人生讃歌、恋愛讃歌が多かったです。
「M5:ロッキン・ロビン」のアメリカンで陽気なわちゃわちゃ感もいいし、「M12:夢の国コストコ」はもはやコストコのCMソングでいいのではないか。
どの曲もすぐ覚えて脳内ループ必須。
終盤にかかって全員で歌い上げる「わたしの手・あなたの手」がやっぱり一番印象的。公式サイトでも稽古版のフルを聞けます。
↓稽古版動画にリンクします↓
https://yubisakimusical.westage.jp/pages/4928818/movie
(心役が抜けた時点のある意味貴重なバージョン)
<キャストの皆さんについてあれこれ>
皆さん素晴らしいけれど、とにかく女子組が可愛いんですこれが。
純粋で内面がどこまでも雄弁な雪、鈴を振るような笑顔と歌声のりん、健気で不憫で応援したくなるエマ。
デュエットもトリオもハモリが綺麗で聞き惚れました。
●雪(演:豊原江理佳)
生まれつき聴覚障害のある大学生。
純粋で好奇心旺盛な性格で、大学生活を楽しんでいる。
まず冒頭のコンテンポラリーダンスで度肝を抜かれる。
私は最初は原作を読まない状態で視聴したけど、原作のイメージを持った人が見るとより「そう来たか!」という意外性があるんじゃないかと思う。
シーンと静かなところから、足を踏み鳴らしてビートを出したり、這いつくばったりする全身表現。
「私の世界」とコーラスが入り、ああこれは主人公の内面の世界なのだな、私たちとは少し違う世界を持っているのだなと察することができる。現実世界ではほわほわとした女の子である雪がしそうにない動きだからこその衝撃。
聴覚にハンディのある役ということで難しい役どころ(視界に入っていない物事には表情でも反応できない…など制約が多い)にもかかわらず、表情豊かに、むしろそれだけでなく全身を使って表現する様に圧倒されました。
自在に歌えるミュージカルシーン以外のストレートプレイでも、表情やボディランゲージがとても雄弁。豊原さん、表情筋が人の2倍あったりします?
序盤の逸臣と2人で帰るシーンで、全身で「いいですよ!!」を表現してるとこなんて本当に可愛い。クルクルしている。とてもクルクルしている。
逸臣が言う通り、人間の悪い部分を耳から入れていない純粋さが魅力的ではあるけれど、それはこの時代には危うさでもあって、いつか悪意のある輩に引っかからないかおばちゃんは心配です……やっぱり心配性の桜志ひとつポシェットに入れといた方がいいって。お守り代わりに(桜志を何だと)。
●逸臣(演:前山剛久)
前ちゃん本当に売れっ子になったよね…………(どこから目線か)
最近、話題になる舞台に結構な割合でサラッと名を連ねていてすごい。歌って踊れてラップもできちゃう美の化身。
池岡さんとの舞台共演はDステ夕陽伝以来かな?(アフタートークゲストだったら「お気に召すまま」とか「駆け抜ける風のように」とかでちょいちょいあるけど)
本作で演じるのは雪の恋の相手となる大学の先輩・逸臣さん。
雪が主人公のように見えるけれど、逸臣がダブル主演という扱いのようです。
トリリンガルでコミュニケーション能力抜群、頻繁に海外に出かけて見分を広げている。「バックパッカー気取って、自分は世界を知ってるぞってアピールしているアイツ(桜志評)」。
おそらく一般的な家庭で育っている桜志が敬遠するのもわかるというか、やや浮世離れして、ちょっと目を離したらすぐ違う世界に行ってしまうなと思わせるのが逸臣さん。志も夢も高く、風船のように軽やかで、括り付けておくことなんてできない「憧れの存在」。
まばゆき御方すぎて、何ていうか、桜志がカンタだとしたら逸臣さんはトトロ寄り(精霊に近い存在)だなと個人的には思ったりする。日本のどこかにいるのか…このいきものが………?
「俺を雪の世界に入れて」「俺なら大丈夫って…それって、どこまで?」「ハハ、わかった、わかった」「付き合おっか」などなど、胸キュンセリフの声の含みが毎回すごい。声がすごい(2回言った)
あとダンスのキレが冴えてる。止めの動きが良い。ただでさえ全員楽しそうなコストコの歌でキャッキャはしゃいでるの可愛い。「♪トイレットペーパー!」って歌いながら音ハメ完璧でポーズキメられるのこの人くらいでは?
ところであの量のピザとティラミスとサラダ全部食べたんですか……?2人で……?
●りん(演:林 愛夏)
個人的に今回一番印象に残ったのがこの方!!!
「りん」という名前のとおり「鈴を転がしたような」と表現したくなる、常にニコニコした優しさと透明感が心に響く子。
大学では雪のパソコンテイカ―(講義の内容をパソコンで打ち、通訳のように文字で伝えるサポートのことだそう:知らなかった)を務め、ごくごく自然に対等に友人づきあいをして、LINEを通じて恋バナに花が咲く様子は見てい本当にほほえましい。
気になる人の連絡先を「絶対絶対、ゲットしよ!」と雪とデュエットする様のいとうつくしき……好きな人と2人きりでドライブできるチャンスにはしゃぐ様はさらなり……連絡を待ってスマホ画面をただ眺める様ははたいふべきにあらず。
大学生の恋愛ってこんなに軽やかでパステルカラーで怖いもの知らずなのか_(:3」∠)_よき
キャストの林さん、ミュージカル経験者なのだろうとすぐ察しがつくほど歌唱力が高くて、澄んだ歌声と明るい表情が人を惹きつける。
「わたし、あなた、愛してる」と歌い上げた「わたしの手・あなたの手」のソロパートはそこだけ繰り返し聞きたくなるほど、残響までもが鈴のように綺麗でした。
●エマ(演:青野紗穂)
不憫で健気で一途な、綺麗なお姉さん。
片思い中の逸臣に真正面からアタックを続けるけど、返ってくるのは悲しいほどの塩対応。そりゃないよ逸くん!!!!(感情移入)
こっちまでメゲてしまいそうになるけど、ぶつぶつ言いながらも諦めずに前向きに恋に向かって進むパワフルさが気持ちいい。
演出のしようによっては、エマを都合のよい舞台装置にして、つまりもっと厭な女に描くことだってできたんだろうけど、何しろこの世界、自分の利益のために人を貶める人が1人も出てこないので…。
叶わぬ恋に打ちひしがれたり、「振りむいてくれたら」と甘い夢を見たり、1人で酒をあおったりはするけど、雪に対して敵愾心をあらわにするでもなく、卑怯な策を弄するでもなく、ただただ切ない恋心を歌い上げるエマが素敵でした。
彼女こそディーヴァ…。
演じてらっしゃる青野さん、声の芯もビブラートもすごいな!と思ってたら本業が歌手の方でとても納得。
池岡さんとインスタライブコラボしてくれたときは、それこそアーティスト肌のクールビューティって印象だったんだけど、劇中では等身大のイマドキオシャレ大学生感が出ててさすがと平伏しました。
エマに幸あれ。
●心(演:中山義紘)
当初のキャストの体調不良により、急遽代役で参加してくれた義くん。黑世界のときも同じPatchの三好君が代役を務めていたけれど、代役だと忘れるほどクオリティを追いつかせて来るのが2人とも素晴らしいな。
エマと息ぴったりのノリノリな酔っ払い、気が大きくなって周りに絡みだす酔っ払い感が本物の酔っ払いだった。
酔っぱらってなければso coolらしいけど酔っぱらってない場面の登場が体感10秒くらいしかないのでよくわからなかったです(マジで)。
エマの恋を応援しつつ、エマ自身を友達以上に思っている描写は散りばめられていたけど、もう少し掘り下げが見てみたかった。
心に幸あれ。
エマ心コンビに無理やり誘われてイヤそーな顔をしつつも結局一緒にキレキレで踊ってくれる逸臣とのトリオ可愛かった。
●京弥(演:上山竜治)
逸臣のいとこにして、登場人物が集うカフェバー「ロッキン・ロビン」の店長。
役者さんのプロフィールを拝見したところ、わーいレミゼのアンジョルラスだ!納得!!というさすがの歌唱力と表現力。
ロッキン・ロビンのロカビリーなテーマに合わせてみんなでズンチャカするのが楽しかったし、いきなりバク転キメちゃうし、さすがミュージカルの世界線から来た人だな??って感じでした(ミュージカルを何だと)
何気にコストコの歌のラインダンスの時、いちばん脚上がってたのもこの方。つま先の到達点が高すぎる(頭の上)。
逸臣の雪へのグイグイ感とは対極的に、最年長なのにりんちゃんとの奥手なモジモジタイムがかわいかったです。末永く爆発しろ(もはや死語)
勢いに任せてハグしてもよさそうなところを行き場のない両手たち…。
この2人の周りだけ作画が高橋留美子先生でした。らんま1/2の25巻以降のらんまとあかねみたいな距離感(伝われ/いや伝わらんだろ)。
あとこれは1点だけゲンドウポーズでクレームなんですが、「サラサラの黒髪」ってわざわざりんちゃんに歌わせといて、実際にお出しされた店長が濡れたようなウェーブヘアーだったの納得がいかないんですが???
これはさぞやSNS上でもツッコミの嵐だろうねェ!!とニンマリしながら「京弥さん サラサラ」で検索したら、フォロワさんの同趣旨のツイートが1件出てきただけで笑いました。みんな普通に受け入れすぎである。
いや京弥さんカッコよかったのでこれはこれでいいです。一連の流れが楽しかったので全然OKです。いやしかしなぜりんちゃんに歌わせたし。
全体的に明るいストーリーの中でも、さらに一息ついてリラックスさせてくれる、まさにロッキンロビンみたいな方でした。好き。
<池岡さん定点カメラ>
●桜志(演:池岡亮介)
雪の幼馴染にして、現在は同じ大学に通う青年。
本人は雪の保護者的立ち位置のつもり?のようだけれど、雪にとっては意地悪なことばかり言ってくるためやや苦手な存在のよう。
実際は不器用なまでに雪を想っており、雪の力になりたいために手話をマスターしている一途な子。しかし不器用さゆえに上手く関われず、雪に近づく逸臣にも敵対心を抱いて…という役どころ。
いやもうね。
桜志がんばれ超がんばれ。
この一言に尽きる。
何度でも言うけど、トトロのカンタ並みに不器用が過ぎる。そこが愛しい。でももどかしい。
私が雪母だったら「桜志くんちょっと口下手でアレだけどいい子だから!!桜志くんにしときな!!」って爆推ししていると思う。近所住みだから逸臣みたいに外国に半永久的に連れてかれる心配とかもないし(急なリアル目線)。
今時貴重なほどのツンデレ成分…あんなに一途なのに(だからこそか)「俺のこと、頼れよ(池ボ)」の一言が本人に言えない歯がゆさ…。
手話もあのレベルまで身に着けるまでには陰で相当努力しているはずで、りんちゃんの言う通り手話で悪口が言えるって単純にすごい手話力である。
いやわかるよ、ずっと淡く想ってきた幼馴染みが目の前で精霊級イケメンに頭ぽんぽんされたら誰だって「なんだあれ……」って言う。
「雪は俺だったら良いんだって♪」って精霊にドヤ顔されたらバリトンで「あ”????」って言う。「あいつはやめとけ、遊ばれてるだけだ」って言いたくもなる。わかる。
もっと言ってもいい。もっと正直になっていいし、何ならもっとずるくなってもいいのに。
恋の予感に浮足立つ雪に、手話で「あんま調子乗んなよ」と捨て台詞のように言ったり、指文字で「ア、ホ!」って投げつけたりするときの表情がよかった…小学生みたいで…(褒めてる)。年頃の男の子が心の隅に抱える、自分でも気づいていないくらいのジトッとしたサムシングの表現がいつも絶妙ですごいなと思ってる(褒めてる)。
そうかと思うと、電車で隣りに座り、手話でキツい語彙を投げつけながらも、沈黙の中でそっと雪の肩に頭を寄せるとことかまるで「わかってくれこれが僕らの精一杯なのさぁーーーー!!」って昔の青学ソングが脳内に響くような精一杯のデレぶり(テニミュはもう4thですが)(どんなに未来が茨の道の彼方でも)。
ううむ、KO☆JI☆RA☆SE。
きっと一足先に雪への恋心をうっすら自覚していたであろう桜志が、すべて飲み込んで見守る側につくのが切なくて妙に感情移入してしまう。
終盤のシーン、安否不明だった逸臣氏の無事が分かって、雪とともに本気で安堵している表情とかね。とっくに覚悟は決まっていたんだね。
とはいえ、桜志はどう逆立ちしても逸臣氏にはなれないけど、逸臣氏だってまた雪にとっての桜志にはなれないはずなので、自分なりにしっくり来る立ち位置が見つかるまで頑張ってほしいと思いました(だから何目線か)。
そうかと思うと、唐突に始まるメタコーナー「この俺、桜志が皆さんにとっておきの手話を教えます」タイム(そうとしか呼べない)で完全に自分色に持ってってたのもよい。あれ冒頭「皆さん!」の声かけ、完全に桜志じゃなくて池岡亮介(27)だった。会場で初笑いを取ったのがあのシーンかもしれないと思うと心がなごむね!
配信の時は「手話」「楽しい」「イライラする」「面白い」の手話を教えてくれました。どうやら日替わりだったらしい。本多劇場(現地)で一緒にやりたかったな。
例のコの字のせいで、舞台にもコンサートにも全然行けていないからこそ、幕が開いて音楽が鳴って歌声が聞こえることがこんなにも尊くて、嬉しい。
その中から池岡さんの歌声が聞こえると、ああ一生懸命伝えようとしてくれているんだなと感じて心がいっぱいになります。
指文字も早い段階で50音覚えてインスタライブで披露してくれたり、手話の勉強もとても頑張ってたことを知っているから、1つ1つの手話の動きを固唾をのんで見守っていたのですが、各方面から褒められていると聞いて本当に嬉しい。
ファンとして誇らしいことがまた1つ増えました!
(インスタライブも常にお待ちしてます!!)
<おわりに:コロナ駆逐の誓い>
まもなく、昨年延期になった池岡さん出演舞台「4」が開幕します。
奇跡を信じて今回もチケットを押さえ、ワクチン接種も終えていますが、過去最大ともいわれる感染状況の中、また、居住地域に再びのまん延防止重点措置が適用されているタイミングでもあり、今回も観劇は自粛します。
舞台公演期間において現場に応援にいけない、露骨に言えば、応援している方やその関連コンテンツにお金を払えないということは、正直、ファンとしての自意識すら危うくする日々です。
東京が遠い。推しが遠い。
チケットを買っては、手放す。きっとあと何回も繰り返すのでしょう。
しかしながら、「どうせ次回もダメだろう」よりは「今度こそ行けるはず」と思いながら日々を過ごしたいと、小市民なりに思っています。
その「今度」はいつだかわからないけど、絶対に来るはず。
もう何年もの間「推しに会えるまでこの日々を頑張ろう」って呪文のように唱えながら色々こなしてきたのだから、そのスパンが伸びただけです。推してきた年月に比べたら、このくらい何でもない。いや何でもなくはない。つらすぎて虚無になっているだけかもしれないけど。でも。
行けない方、もう少し一緒に辛抱しましょう。
僕の我慢がいつか実を結ぶっていう名曲があるではありませんか。
行ける方、どうぞ万雷の拍手を各自の推しに注いでください。
会場で応援している方がいるという事実に私は救われます。
「今度」が来るその時まで、一生懸命手を洗います。うがいもします。
手指消毒だって何度だってしてやりますよ。
その手が、ゆびさきが、希望を作り出し、明日を掴み取るのだから。
(巧いこと言った顔で締め!!!!!)