残酷歌劇「ライチ☆光クラブ」 感想レポ

こんにちは!
このコロナ禍中真っ只中に池岡さんが始めてくれたインスタライブに、毎回酒を飲みながら1人しみじみ泣いているオタクです。
もうね。
このインスタライブなるものが本当に、すごくて。

100年恋した推しの顔と声を堪能しながら、
推しのことが大好きなファンの方々と一緒に、
快適な自宅で酒と少々のつまみを嗜み、
近況・昔話・裏話に花が咲き、歌や絵も飛び出す空間。

ぴえん🥺
こんなにたくさんもらってよいのでしょうか。
今、応援するために具体的に何もできていないのに。
元気に過ごしていることがわかるだけでも嬉しいのに。十分なのに。
あー顔がいいな。声がいいな。美味しそうにお酒を飲む笑顔がいいな。
言葉の端々から、この人の誠実さが伝わるな。
つーか酒めっちゃ強いな。
と、感情全振りで泣いたり笑ったりしながら配信を楽しみに日々生きています。

昨日はなんと、伝説の朝まで6次会をさらに上回る7次会(7時間配信)。
いま試されるオタクの体力。
財布を試されるよりある意味きついけど、一分たりとも見逃したくないから何とか食らいついていきます。
この人を推していてよかったと今、多幸感でいっぱいです。
決して寝不足でハイなわけではないですハイ。

そんな感じの昨今。
前回ブログでも書いたように、一時期停滞していた観劇レポを最近また書き始めています。
どんなに拙くとも、自分の言葉でアウトプットしておくことはすごく大事だなと思ったので。
考察などという高次元のものはとてもできませんが、初見で見た時のワクワク感とか、
俳優さんたちへの憧れとか、池岡さんを食い入るように目で追った熱量とか、そういうものを残しておきたいです。
推しは推せるときに推す。今の自分のために。
推した記録は鮮明に残す。未来の自分のために。

前置きが長くなりました。

今回はあれです。ライチです。泣く子も黙るライチ☆光クラブ」です。
2015年に書きかけていたメモが半分くらい、加筆半分くらいで作ってみました。
レポを書くために久しぶりにDVDを見返して、映像美の凄さに改めて感動するなどしました。

では、時をかけたレポ、いってみよう!


▼公演概要
原作:古屋兎丸
演出:河原雅彦
パフォーマンス演出:牧宗孝(東京ゲゲゲイ)
脚本:丸尾丸一郎(劇団鹿殺し
出演:中村倫也、玉置玲央、吉川純広、尾上寛之、池岡亮介、赤澤燈、味方良介、加藤諒
   BOW、MARIE、MIKU、YUYU(以上、東京ゲゲゲイ)/KUMI(KUCHIBILL)
   皇希、七木奏音
公演期間:平成27年12月18日(金)~12月27日(日)
会場:AiiA 2.5 Theater Tokyo


▼あらすじ(公式パンフレットより)
工場からの黒い煙に覆われた光のない町、螢光町。その廃墟に深夜、けたたましい笛の音と狂気をはらんだドイツ語の怒声が響き渡る。
そこは学生服に身を包んだ少年たちが集う秘密基地「光クラブ」。
彼らは夜な夜な「ある崇高な目的」のために「甘美なる機械(マシン)・ライチ」を創っていた。
1年半の歳月をかけ、いよいよ機械(マシン)の軌道を目前に控えたある日、光クラブに帝王として君臨するゼラは、
祝杯を上げる彼らにこう言った――。
「この中に、僕を裏切る者がいる・・・」
迎えたライチの完成、そのライチに捕らわれてきた美しい少女カノンと光クラブメンバーそれぞれの思惑。
幼さ故の狂気と愚かしさが絡み合い、少しずつ彼らの歯車が狂い始めていく!
彼らの「崇高なる目的」とは?そして、光クラブの少年たちの運命は・・!?
彼らが待ち望んだ機械(マシン)・ライチの目覚めとともに、耽美かつ醜悪な、そして純粋な残酷劇(グランギニョル)が幕を開ける――。

 

▼全体の感想

クリスマスに血まみれの舞台を見てきました\(^o^)/
ライチラライチララライチ!!


ライチ☆光クラブ」。
前身の「ライチ光クラブ」が演劇史に登場するのは実に昭和60年のこと。
「東京グランギニョル」というサブカルチャー劇団が上演したのが始まりとのことです。
その舞台に感銘を受けた漫画家の古屋兎丸氏がコミックス化、その後2回の舞台化と、実写映画化がなされています。
既存のジャンルに当てはめることが失礼な気がするくらい、「ジャンル=ライチ」と表現したくなるくらい、強烈な個性があり、役者さんの間でも人気の高い舞台です。
(なお、初演当時の劇団メンバーは、古屋版以降のライチを「全くの別物」と評価するなど、経緯はさまざまあるようですが)

今回の舞台は、古屋版「ライチ☆光クラブ」と、その前日譚である「ぼくらの☆ひかりクラブ」をミックスさせた構成でした。

ストーリー展開についてはあまたの感想ブログがあると思うので割愛しますが、
<ずっと純情な少年でいたい主人公ゼラが>
<仲間と共に何年もかけて夢のロボット・ライチを作り上げ>
<運命の少女カノンの手を取り、世界を夢見るお話し>
です。

……え。あながち間違ってないな。

ちなみに、スパイスとして、血と臓物と猜疑と嫉妬と裏切りと美しいエロがほんのりまぶされています。
小道具として白くてやわらかな曲線の便器がいい味を出しています。嘘じゃないです。

少年たちの愚かで残酷で純粋で美しいグランギニョル。リアリティとは対照的で、でもファンタジーでもなくて。
見てはいけない世界を覗いてしまったような高揚と憧憬と畏れにどっぷり浸れます。
ねえなんでこれクリスマスにやったの。

とにかく世界観が素晴らしい。
衣装、メイク、照明、演出、随所に挟まれるダンス、どれをとっても「ライチ☆」でしかなく、他の何物でもない。
すでに圧倒的な世界観が完成しているところに、演技演出の華やかさが加わって、隙がなかった。

私自身は他媒体については古屋版漫画のみ履修なので比較はできないのですが、他の舞台や実写映画との大きな差は、
「残酷“歌劇”」というだけあって「歌」要素でしょうか。
でも無理やりなミュージカル感はなく、ストーリーを邪魔しない程度のバランスでちょうどよかった。

キャストの皆さんはみんな、再現度と完成度が高いたかーい!
キャスティングした人は職人かな?誰ひとりが抜けても成立しないと思えるほどに「光クラブ」としてまとまっていました。
冒頭、「ライチ・光クラブ」と機械音声が流れ、一糸乱れぬダンスとともに光クラブメンバーの姿が暗闇から浮かび上がってきます。
1分に満たないダンスなのに、その様は一度見たら絶対に忘れない印象的なもの。
指先一本、髪の毛一本まで神経が行き届いているかのような。
あたかも「光クラブ」が1つの意思のある生命体であるような。
そして玉座からゼラが音もなく立ち上がり、まばたきする仕草だけで鳥肌が立ちます。
正真正銘、そこにゼラがいる。目をそらしたら喉元を掻き切られる。そんなイメージが湧くほどです。

本当に暗い廃工場基地の中にいるような、古い機械油の臭いが漂ってきそうなセットも大迫力。
外の世界の、大人たちの干渉をなぜか一切受けない閉鎖的な空間。飲み込まれたら戻れない危うい世界。
縦にも長くて、役者さんの動きが立体的です。
神出鬼没に舞台上を蠢く「東京ゲゲゲイ」のダンサーさんたちも不可欠なスパイスで。
セットについて言えば、クライマックスシーンがとにかくすごかったです。

あふれかえる水、水、水。

埋立地にある基地が崩れかけて浸水が始まる中、ゼラとタミヤが対決するシーン。
最前列の観客には水除けのビニールが配布される(!)くらい、大量の水が洪水のように押し寄せ、客席にもしぶきが跳ぶようなダイナミックスプラッシュ。
途中で血糊が混じるのでさらに危険。よくこの演出GOが出たな…。
ゼラとタミヤの対決は、何かを必死に歌っているんだけど横溢する水流にかき消されて、歌詞はほとんどわからないほどです。
カーテンコールであんなびっしょんびっしょんたぷんたぷんになってる板ある?
今は亡きAiiAシアター…お前やればできる奴だったんだな…と思わず涙腺が緩みます。
(※会場であるAiiA 2.5Theaterは「2.5次元ミュージカル専用劇場」として運用され、数々の人気作品が上演されましたが、設備面で評判があまり良くなかった。
  東京オリンピック開催に絡み、2018年に閉館となりました。)

 

▼個々の役者さんについて

★廃墟の帝王 ゼラ ≪演:中村倫也
・ただの本物。ゼラ様・マジ・ゼラ様。
・鴉の濡羽色の髪も、白い肌も、涼やかな目元も、真っ赤な唇も、天鵞絨のような声も、すべてが超越していて美しい。
・この人のためにチケット代払ったと思っても後悔しないくらい、絶対的ゼラ様。ゼラ様に見惚れて2時間過ごすこともできますきっと。
・目線が右から左に流れるだけで釘付け。許されるなら私も玉座を囲んで「ゼラ!ゼラ!ゼラ!ゼラ!」ってやりたい。
・漫画に魔法がかけられて具現化したかのようなビジュアルの再現度もさることながら、冒頭の完璧な独裁者の姿と、徐々に狂人になっていく落差の表現がすごかった。
・尖りすぎた選民意識と歪んだ妄執と被害妄想。「ぼくの考えたさいきょうのロボット」と「美しい女の子」があれば、やがて「世界を征服」することもできると信じているあたり、たぶん最初から狂っているのですが、本当に万能の帝王のようだった前半から、どんどん思考のまとまりがなくなり幼くなっていく後半の変貌はショッキングで、それでも蠱惑的に狂おしく美しいのです。
・ジャイボとのBLシーンもひたすら美しかった。いやらしくなかった。いや、いやらしくはあったな。でも下品な感じじゃなくてお耽美。JUNE的薔薇的お耽美。
・出演者全員に言えることだけど、半袖シャツ・サスペンダー半ズボン・白ハイソ・ランドセル姿で歌う中村倫也なんて誰が許可したんだ。勲章を授けたい。
・半ズボンの小学生から中学生になったところで彼はまだ13歳なのであった。これには手塚国光もびっくり。
・腕がもげても大量の返り血を浴びてもヒャヒャヒャと笑いながら元気にズンチャッチャ。それが2015年12月に最も美しく絵になったのが中村倫也さんだったんだろう。
・2020年現在、テレビでも超売れっ子、ディズニー主人公の吹き替えまでこなす中村さん。でもそれも当然、とっくに彼は満を持して世界に降臨していたのだった…なんて思うくらい、この時のゼラ様は圧倒的でした。


★1番(アインツ) ニコ ≪演:尾上寛之≫
・ゼラに心酔し、ゼラのためなら何だってする忠誠の騎士。
・貧しく凡庸で何も持っていないけれど、誰かに必要とされたかったニコ。貫いたのはひたすらの忠義で、それすらもゼラにとっては「フーン」程度だったのが悲しすぎる。忠義のために目玉を麻酔なしでくりぬくシーンは本当に!!痛そう!!あまりの迫真の演技に、思わず客席からもうめき声が。
・あのままタミヤと友だちでいて、みんなで草野球でもしてればよかったのに……としんみりしていたら、最後の最後で彼自身がゼラを最も醜悪な方法で葬ってしまう。かわいさ余って憎さ百万倍。このシーンは最初素でびっくりしたし、2回目以降は楽しみになった。あんな痛快な因果応報があるか(麻痺)


★2番(ツヴァイ) 雷蔵 ≪演:池岡亮介
池岡亮介定点カメラでお送りします※
・かわいいかわいい我らが暗闇の乙女・雷蔵ちゃんです。
・外ハネの髪、真っ赤な唇とネイル(自分で塗っているらしい)、内股スタイル。「どきんこ☆」。
・ジャイボとシンメのシーンが目の保養です。ジャイボはホラーに出てくる美少年みたいな底の知れないゾクゾクする美しさなんだけど、雷蔵ちゃんは根がおばかな年相応の子なので見ていて癒しでした。ちゃんと人間の父親と人間の母親から生まれてきた感ある(私はジャイボをなんだと)。むしろ雷蔵が何かしゃべるたびに客席がホッとなごむ。この舞台の癒し要素は雷蔵ヤコブしかいないから…まじで…。
・池岡雷蔵ちゃん、ものすごくキュートで、所作もどこを切っても女子なんだけど、オトコノコが無理してやっているオンナノコ感も絶妙に醸していて安心感がありました。ここも、ジャイボと好対照。家族の目を盗んで一生懸命お化粧を覚えて、可愛く見えるしぐさも雑誌とか見て研究したんだろうな。
・「ちょっと男子どいて!」「はあー、綺麗な髪ねー」の声が野太い。一瞬海堂が顔を出す。なぜ。
・祝え!池岡さんの演技遍歴にまた一つあらたな性別のグラデが加わった瞬間である!と思わずウォズ顔待ったなし。振り返れば年上の男性に恋心を抱く少年イケオカ(ポールダンシングボーイ☆ず)、正真正銘の女子・オリヴィア(十二夜)、濃厚なゲイを経てトランスジェンダー(たぶん)な花村牛松(ロマンス2015)、そして「女の子として生きている男の子」雷蔵。鮮やかに演じ分けるのも、演劇ならでは。
・半袖シャツ・サスペンダー半ズボン・白ハイソ・ランドセル姿で歌う池岡亮介なんて誰が許可したんだ(二度目)。半ズボンの丈が完璧。美脚の線が最高に映える。演出のひとに有り金全部振り込みたいので口座番号教えてください。今なら特別定額給付金もつけられる。
・「いやよ!せめて顔だけは!!」と言いながら自慢の顔を潰されて殺されるの本当に可哀想というかこれぞライチの世界というか。1回だけ上手側の席になった際、ライチにお顔ぐりぐり(婉曲表現)されてビクンビクン(婉曲表現)するのが目の前で繰り広げられたんだけど、あれマジでちょっと顔減ってない?ってくらい動いてて心配になった。いや割とね。マジでね。目の前で推しの顔が潰される観劇体験、たぶんもう二度とないでしょ…。
・しかしこの子、(おそらく洗脳されてるとはいえ)どうして光クラブにいるんだろう…ヤコブも…。そもそも、ただ秘密基地に通りすがってどきんこ☆しただけなのに…。巻き込まれた被害者ポジションなのに割と終盤まで五体満足でいたせいで、友達の無残な姿を見せられ続けたの不憫。生き延びて令和の世を軽やかにキラキラ生きる雷蔵ちゃんが見たかった。彼らが憎み続けた成長は雷蔵ちゃんにはきっと必要で、大人になることで螢光町、時代、家族、将来とかいろんなものから解き放たれたと思うのよ彼は…。謹んでお悔やみ……。


★3番(ドライ) カネダ ≪演:赤澤燈≫
・こんな色っぽいカネダがあってたまるか!!な鬱屈の瞳。
・この頃、本格派・コメディ・オタ向けとジャンル問わず様々な舞台に出てめきめき実力をつけていた赤澤氏。「ともるん」カラーは極力消しつつも、にじみ出る演技の幅が隠しきれてなかった。爪かみの仕草、ダンスの腰つき、一瞬見せる挑発的な笑顔など色気がすごい。
・逆パカ処刑シーン、エクソシストばりに反り返っていくカネダ怖かった。柔軟性すごい。のに、いざ上半身がもげてみると、絶妙に微妙なクオリティで笑いました。あとから考えたら、あんまりリアルに作りすぎるとクレームとかトラウマに発展するんだろうなあれ。
・一度だけ、歌のシーンでテニミュ組(雷蔵、カネダ、ダフ)が3人集まるシーンがあってニヤニヤしちゃったよね。


★4番(フュンフ) ダフ ≪演:味方良介≫
・味方くん、「テニミュ」から「魔王」ときて3回目の池岡さんとの共演。彼は本当に大物だよね…。
・ダフといったらアレですよ、アレ。伝説的超リアル自慰。初見のとき仰天した。すごい生々しくて真に迫ってて、だからこそ刹那的で即物的で美しい自慰。と喘ぎ声。
・これに挑戦できるみかてぃはすごいと思ったし、みかてぃのファンの皆様はどう捉えているのかとっても気になるし、リアル17歳の女の子のスカートの中に顔突っ込んではーはーはーはーするのは色々とその……大丈夫なのか……。
・予備知識なしで観劇した人間違いなく「こんな時どうしていいかわからないの」顔をしていたでしょう…なぜなら私がそうだったので。DVDの座談会でも取り上げられていて、舞台からはなぜか爆笑している観客がちらほら見えたとか。「本当にどうしていいかわからないとき人は笑うんだなって」そうかもしれませんね。
・ダフの処刑シーンに至るまでの流れが悲しくて秀逸で。タミヤ・カネダ・ダフの初代ひかりクラブのメンバーとタマコで海岸に出かけるシーンから始まる。ずっと友達だ、ゼラなんかこわくないぞ、とみんなで明るく笑うシーンの背後で、処刑の引き金になる行為を行っているダフ。ああもうだめだ、元には戻れない、と観客だけが悟る、舞台ならではの演出で切なくなる。舞台暗転、本当に瞬きの間に、タミヤがダフを処刑するシーンになるこの絶望的な落差。芸術的だよね…。「また明日、僕たちのひかりクラブで!」って最期まで明るく言い切るダフが切ない。


★5番(フィーア) デンタク ≪演:BOW≫
光クラブメンバーの中で唯一女性が演じていた少年。3公演見ても女性だということに気付かず、終演後のツイートを見て仰天しました。声の高い男性だと思ってた…鈍かった…。
・でも、良く通る高い声が、むしろ「科学少年」デンタクらしかった。女性でも男性でもない、少年の面影と変態性を感じさせてくれました。
・演出を手掛け、ダンサーとしても登場しているダンスグループ「東京ゲゲゲイ」の一員だそうです。したがってダンスのキレがピカイチ!デンタク中心のダンスシーンもあって、まさに変態的天才理工系なデンタクらしい、機械的・技巧的な動きを見せてくれました。その延長線上で、頸椎とか背骨が折れる演技が上手(えええ)。
・デンタクさん、ゼラの次に、いやもしかしたらそれ以上に狂気の人だと思う。登場人物の中で、笑いながら死んでいったのこの人だけ。夢が叶ってよかったね☆え、ジャイボ?ジャイボはほら、ただゼラのことが大好きなピュアな子じゃないですか。ねえ?…ねえ……?
・公式パンフレット(すごく出来がいい)、出演者の1人1人に輝かしいプロフィールが並ぶ中、この方は「19歳の時にダンスを始め、23歳で72kgになる。」なにそれ大好き。


★6番(ゼックス) タミヤ ≪演:玉置玲央≫
・超かっこよかった!!!!!!!以上、解散!!!!!
・いや本当にかっこよかったんですよ。原作でもかなりの美丈夫として描かれているタミヤに、漢気と迫力とちゃめっ気成分を足したようなイケメンでした。イケメンなどと軽いカタカナで呼んだら失礼かも。昭和初期の青年将校さんみたいな、清潔で凛とした空気を纏っています。
・劇団「柿食う客」中心メンバーで出演舞台多数。さすが舞台を生業にしているだけあって、声の張りすごい。まさに真実の弾丸。
・私が観劇した回で起こったハプニングは多分当時も話題になったんだけど、クライマックスのタミヤvsゼラの死闘、激しすぎてタミヤのイヤーマイクがもげちゃったんだよね。当然音声が途切れる。でも気迫と地声だけで乗り切ってらした。何が起こっても芝居を停滞させない役者魂もさることながら、表情と体の演技だけで成立しちゃうことに感銘を受けたものです。
・「なーんか間違ってねえか?」「ここは、俺の『ひかりクラブ』だ!!!!!!!」と高い所から現れる時のカタルシスすっっっっごい。タミヤ君!ああタミヤ君!!いよっ待ってましたリーダー!!と心の中で大喝采する。スーパー戦隊なら間違いなく、絶体絶命の時に現れる無双レッド。疾走感のある主題歌をバックに敵をちぎっては投げちぎっては投げするレッド。しかし悲しいかなここはアイアシアター。キラッと参上カラッと解決な戦隊の世界ではなく、グランギニョル真っただ中なライチの世界なのであった。命からがら玉座にゼラを追い詰めて説得、もう少しで誤解が解けるのでは?というところで派手に散る。物理的に。それはもう派手に散る。


★7番(ジーベン) ヤコブ ≪演:加藤 諒≫
・原作だと影の薄い(然るがゆえに一番まともっぽい)ヤコブですが、今回、加藤諒さんの好演で印象深いキャラクターになってます。眉毛。何よりも眉毛すごい。
・「俺、近所の女子中学生に石ぶつけられたぜ。スイカ大の。」はオリジナルのセリフかと思うけど、間の取り方絶妙で何回聞いても笑った。
・その分、死に様が幾分地味かつ現実路線に。ライチに頭を(餅つきの杵みたいに)つぶされるんだけど、その時に「おかーさーん!」と叫ぶのが若干トラウマに…。おかーさーん、はダメだ、おかーさーん、は。
光クラブのメンバーの中ではヤコブ雷蔵は「巻き込まれた側」だし、その中でもヤコブは普通の感性を持っているから、本来なら血なまぐさい事とは無縁だったはず。家に帰れば普通の家族がいて、学校に行って、光クラブに飲み込まれなければすんなり大人になっていったんだろうな、という未来が容易に想像できるヤコブだから、死の臭いなんてしなかったヤコブだから、おかーさーん、は心に来るものがあります。
・何だかんだ、「本名:山田こぶ平」がすべてを持っていくキャラ。
・ごくごく最近、ツイッターにライチ時代のダンス(冒頭の全員ダンス)を再び踊る動画を上げてらして、思った以上に再現度高くてすごいなと思いました(作文)。


★8番(アハト) ジャイボ ≪演:吉川純広
・えっっっっっっっっっっっっっっろ。エロスが学ランを着て歩いている。普段もゼラ以外とはほとんど絡まない不思議ちゃんだし、ゼラと濃厚に絡む()BLシーンで見せる恍惚とした表情は妖艶の極み。「ゼラぁ?」と呼ぶ蕩けるような声、「しな」の作り方、どれを取っても芝居がかっていて、ジャイボという危険分子を印象付けている。
・元凶にして黒幕にして破壊神な漆黒の薔薇。虚構の匂いが強い光クラブの中でもさらに異質で遊離した存在。あのゼラですら最後まで欺かれる。ジャイボが来なければひかりクラブはきっと光の場所でいられた。
・ジャイボとは結局何者だったのか?はほとんど明かされず、悪行の限りを尽くした一連の行動の動機はゼラのことをただ愛してるから、というトゥーピュアピュアボーイ。そうか…愛してるなら仕方ないよな……ウン…………………。
・最期にはそんなに!?そんなに血糊かける!?ってくらいえげつない量の血糊をジェット噴射で食らう。この血糊をセッティングした演出家は当時何かやばい食べ物でも胃に入れちゃったんじゃないか?役者の人は溺死しないか?と思うくらいかぶる。まあ、原作の死に方がアレ(※ググッてください)だったことを考えると、いくらかけても足りない!!と思ったのは理解できる。舞台だから、ヒャー!と目をつぶりながらでも見続けることができたけど、原作に忠実に再現されたらちょっと気が触れるかもしれない(なお実写映画)


★少女1号 カノン ≪演:七木奏音≫
・超かわいかった!!!!!以上、解散!!!!!
・透き通った美しさと俗世を超越した純粋さを持つカノンのキャラクターにぴったりの、ザ・美少女。濡れたような黒髪に鈴を振るような澄んだ声。ゼラ様同様、原作から抜け出してきたみたいな、まさに本人。まっすぐに見つめてくるお目めが真珠みたい。
セーラームーンミュージカルにご出演されたキャリアがあり、しかもマーズ役だったとのこと超納得しました。
・制服のスカートが妙にテラテラした質感で違和感あったけど、後から水まみれになるから防水素材を使っているのだと途中で気づき衝撃を受ける。
・オルガンで賛美歌や鎮魂歌を弾き語りするシーンは一幅の絵画のようにきれい。
・天然なのか世間知らずなのか、何が起こっても全然動じないし光クラブのことも完全に他人事。さらわれて拘束されてるのに、目の前で人が殺されているのに眠ったふりを続けて、鉄に作り替えられようとしてもなんだか受け入れているみたいで。興味があるのはライチのことだけのよう。不思議な子。美貌も相まって、ライチよりも作りものみたいな印象を受ける。
・どう考えても精神のメーターが振り切れて大暴れしてるゼラを見ても逃げ出さないとか、メンタルつよつよでしょ………。惨劇からの唯一の生還者(ダフもいるけど)、これからも光クラブのことは何も思い出さずに強く生きてほしいです。
・役者さんのお名前が役名と同じ「カノン」であることに運命を感じる。昔から憧れていてずっとやりたかった役だそうです。よかったねえ…(何目線)


★ライチ ≪演:皇希≫
・ゼラとデンタクによって作り出されたロボット・ライチ。設計者であるデンタクから「私は人間だ」という概念を与えられ、今となっては流行りの(?)シンギュラリティに達する。人間をためらいなく殺戮できる冷酷無比なマシーンでもあり、人間の女の子に恋する心が芽生えた哀しきヒューマノイドでもある。
・演じられている皇希さんは当時18歳。ダンスの世界的な大会にも出られていたりな実力者。身長は180cmでもちろん大きいんだけど、役柄にはまっているためかその何倍も巨体に見える。のっしのっし歩いてる。
・カノンとの恋が育っていくシーンは全部静謐で美しいですね…。共にオルガンを弾き、歌い、恋人たちのようにダンスを踊り。肉体的には濃密に交わるゼラとジャイボの心が決して通じ合わないのとは対照的に、雪が降り積もるように水がたまるように静かに育まれていくカノンとライチの純粋な恋。「魔法で人間の男になっている」というイメージのシーンでのロマンチックでしなやかなペアダンスは必見。
・その描写があってからのライチの暴走シーンの絶望感すごいよな……荒ぶるデスペラード達の身の毛も弥立つ生殺与奪(※別ジャンル)を生卵のように握ってるライチ……そりゃそうさ今日はお前の命日(※別ジャンル)になる予感しかしない……(そして的中する予感)。


★女教師≪KUMI(KUCHIBILL)≫
・初手からガツーーン!!とインパクトを与えてくれる存在。この舞台がいわゆる「エログロ」で、今から容赦なくそういう描写が繰り出されますわよ!お覚悟はよろしくて?な導入になっている。
・冒頭、後々のストーリー展開の伏線になる、ローマ皇帝「エラガバルス」の寓話を上品に説明する女教師。ヒラヒラフリルのブラウスにグレーのスーツ、そして網タイツ。この時点でかなりセクシー。
・その後すぐ、見事に下着姿に剥かれてしまうわけだけど、まあこれがすんごい肉体美。全然いやらしくない。細くてしなやかなのに筋骨隆々、健康的な美に見とれてしまう。これから光クラブによってSA☆TSU☆GA☆Iされる…!というシーンで、悲鳴と共におもむろに始まるポールダンス。…ポールダンス……?(ポールダンサーの方でした)(生ポールダンスすごかったです)(なぜライチでポールダンス?という疑問はもはや意味をなさない圧倒的なパフォーマンス)
・その後はまあ原作通りジャイボにザクッとされるわけですが、その瞬間天井から降ってくる………ウワアアアアアアアア臓物だあアアアアアアアアアア(楳図かずお顔)。初見ではもう驚いたのなんのって。あんな細いお姉さまの体から出てきたとは思えないほど妙にでかい臓物。落ちる音もでかい臓物。夢出るわ。なおここまで開幕から10分。
・ところで途中で出てくるタミヤの妹「タマコ」もこの方が演じられていたそうで…まっさらな状態で観たら全然気づかなかった。妙に色っぽい太ももとパンチラ(白)。挑発的な寝そべりポーズ。しかしロリ語。ごちそうさまでした!!


★三匹の猫(MARIE、MIKU、YUYU/東京ゲゲゲイ))
・至る所で登場し、おどろおどろしいキレキレダンスで世界観を縁取る3人のダンサーたち。皆さん東京ゲゲゲイのメンバー。
・神出鬼没の舞台装置。踊っているというよりは、蠢いている、這い出ているという表現の方がしっくりくる。
・アングラ的雰囲気が漂うどぎついメイクと、常人離れした激しくてセクシーで不気味で叩き付けるようなダンス。見事の一言。
・黒子的立ち位置なので役名はないものの、裏設定ではジャイボが殺した猫の化身なのだとか。


▼まとめ
池岡さん定点カメラブログのはずですが、あまりにもどのキャストもハマっていて、感じたことを全部書いてしまいました。
ライチ☆という作品は、源泉である「東京グランギニョル」という種から派生して、舞台に映画にと何度もリメイクされ、そのたびにアップデートされているようです。
作り手の数だけ、観客の数だけあるライチ。もしかしたら万人向けではないかもしれない、でも確実に観客を魅了し続けているライチ。
この作品に出会えてよかったです。
池岡雷蔵ちゃんに出会えて幸せです。
 

▼さらに一言
観劇したのは2015年。もう5年近く前のこととは思えないほど、初めてライチ☆に触れたときのことはありありと思い出します。
原宿駅からAiiAシアターを目指し、12月の冷たい空気の中てくてくと歩いたあの日。
ライチ☆というジャンルとの邂逅の衝撃、キャストや製作陣の気迫に満ちた2時間。
こりゃあエラいもんを見てしまったぞ、と心地よいザワザワを感じながら帰る新幹線の車内。
あの時はその数年後にAiiAシアターがなくなってしまうことも、世界的パンデミックで演劇業界が窮地に陥ることも、当たり前ですが想像すらしていませんでした。
はやる心を押さえながら、てくてくと劇場に歩いていける穏やかな日が、どうか戻ってきますように。
それでは皆さんご一緒に。

\そしてこいつは奪いました、ゼラ!!/

\私たちの楽しみを奪いました、ゼラ!!/

\エアモルド!!/

\エアモルド・デム・コロナ!!/

 

(台無し!!!!\(^o^)/!!!!)