堀内夜あけの会「なりたい自分にな〜れ!」感想レポ

  • 公演概要

○期間:平成28年4月29日〜5月1日
○会場:下北沢 本多劇場
○公演HP:http://www.watanabepro.co.jp/information/jibun.html
○脚本:堀内健村上大樹
○演出:村上大樹
○出演:鈴木砂羽出川哲朗池岡亮介伊藤修子堀内健原慎一(夜ふかしの会)、鬼頭真也(夜ふかしの会)、THE石原ほか

  • 公式HPより

「堀内夜あけの会」
それは、あの堀内健の頭の中に浮かんだ「ものがたり」を芝居にして上演する試みです。
2014年5月に旗揚げ公演、『恐怖 タコ公園のタコ女』
2015年8月に第2回公演『オマエは渋谷の夜回りおじさんじゃない!!』
どちらも下北沢 本多劇場で上演され、見る者に衝撃を与えました。
斬新極まりない<ホリケンワールド全開>の「お芝居」を書き下ろします。
出演者は、初出演となる女優・鈴木砂羽
三回目のタッグとなる出川哲朗
「恐怖 タコ公園のタコ女」で好演した期待の若手俳優池岡亮介
毎回出演の個性派女優の伊藤修子
唯一無二のホリケンワールドの舞台化に挑みます。
「お芝居」の新たな地平を切り開く、堀内健のみたびの挑戦、要注目です!

  • 参考URL

エンタステージ http://enterstage.jp/news/2016/04/004778.html
稽古場風景 https://www.youtube.com/watch?v=VuT9aB_4zJg


以前、このブログにも感想を書いた「恐怖 タコ公園のタコ女」(http://d.hatena.ne.jp/laevatein+genba/20140505/1399321795)ぶり
に、池岡さんがホリケンワールドに参戦!とのことで、今回も下北沢本多劇場に行ってきました!
観劇した公演は、4/30昼、夜、5/1昼。
しかも、2列目下手側、1列目上手側、1列目中央寄り、という、え、私もうすぐ死ぬの…?な激近席。
抽選に当たった時、心の中で「クッッソ熱ッいぜ!」「これ!!」「すッッげぇ熱いッ!!!」とハンジ分隊長(@進撃)ポーズを取りました。
2016年の運どころか、2017年の運もすべて前借りして生き急いだ感がありますが、それも本懐と思っています。



※以下、ネタバレしかしていませんのでご注意ください※



  • 全体の感想

「堀内夜あけの会」鑑賞は2回目ということもあって、しっかり心の準備をして「ホリケンワールド」に臨みました。
笑いのツボ連打、カオスな登場人物、そしてなぜかホロリとする場面もありつつ。
お笑いライブのようなネタの数々。意味不明なのに、最終的には演劇としても成立しているストーリー。大詰めでのしょーもないオチ。
細部に至るまで練られている、それでいてぶっつけ本番のように見えるグルーヴ感。
初作から感じていたそれらの要素を引き継ぎつつ、3作目にしてわかりやすさも増し、洗練された感もありました。
心の底から笑い、ときめき、いい意味で後を引かず、「あー楽しかった」と言いながら帰ることができる。
会場でこの空間を共有できることがとても幸せだと感じられる舞台でした。

  • お話の流れ

ストーリー、といって良いのかわからないですが、構成的には下記のような感じでした。
公式では「史上最強のラブスペクタクルバトル」と言われていたものの、「タコ女」の時の「ヒューマンドキュメンタリードラマ」くらい信憑性はないなー(失礼)と思っていましたが、結果的には宇宙規模の壮大な「ラブスペクタクルバトル」でした。

≪オープニング≫
・ホリケンさんからストーリーの導入があってからの、オープニングダンス!
・初手からかなりギリギリのパロディの応酬!某「競艇のCM」と某「高○クリニック」のCMをもじったダンスが繰り広げられました。
・というか「○須クリニック」なんてモロに固有名詞言ってたけど…。
・登場人物全員がお目見え。全員がド派手な衣装に身を包み、鈴木砂羽さんを崇めるように踊る踊る(今にして思えばこれも伏線)。
・ここでの池岡さんマジでガチでハンパなく可愛いです(語彙力)。伝えたいKSK。愛してるKSK。(※K=可愛いこと S=して K=ください)

≪ペンション「心のばんそうこう」≫
・オーナー夫妻(出川さん、砂羽さん)、従業員のイガラッシュ(鬼頭さん)、患者のみっくん(石原さん)のターン。
・ペンションの役割(心を病んだ人を癒す)と、奥さんが作る美味しいカレーの謎の提示。
・ペンションのセットはいいとして、下手側の山と森のセットが雑すぎてwww 後半ここで人形劇が繰り広げられるので(本当です)そのテイストに合わせて作った感じですかね。

≪小説家ペア登場≫
・明日からペンションで缶詰めになって執筆活動する女流小説家(伊藤さん)のお付きの編集者、早乙女(池岡さん)登場。
・その後、小説家も合流。小説家と編集者とのイケナイ関係()を匂わせつつ、実は編集者こそがゴーストライターであったことが明かされる。
・オーナー夫妻と小説家ペアの交錯する恋愛模様()。お互いの相手に手をだしてパートナーから不興を買ったりなんだかんだ。

黒野リゾート襲来≫
・ペンションの買付に執心する大手リゾート会社の代表(ホリケンさん)とその社員・桐生(原さん)が、買収交渉のため宿泊に訪れる。
・オーナーと対決したり、ペンションの仲間とUNOで仲よくなったり、野生の動物たちと闘ったりなんだかんだ。
・早乙女の「シンガーになりたい」、桐生の「役者になりたい」など、登場人物の「なりたい自分」が少しずつ明らかに。

≪みんなでつくろう、新作ドラマ≫ 
・スランプの小説家、ゴーストライターから脱却したい編集者のために、みんなで新しいドラマの脚本を作ることに。
・「ゴルフの賞金女王(伊藤さん)が大学生(池岡さん)と恋して駆け落ち。その後、ライバル(出川さん)からの挑発で再びゴルフへの闘志を燃やす!」という内容。
・を、キャストそれぞれが演じる。伊藤さんと池岡さんのラブシーンがシュール。
・良いドラマが作れたね!大成功!な雰囲気の中、浮かない表情の奥さん。

≪明かされるオーナー夫婦の正体≫
・実はオーナー夫妻は、他の星から駆け落ちして来た女王蜂とそのしもべだったのだ!デデーン!
・星からお迎えが来て(かぐや姫か)、戻る覚悟をする奥さんと、地球での暮らしを守りたいオーナー。
・オーナーは果敢にも、傭兵だらけの宇宙船に単身乗り込んでいく。キャスト全員が「なりたい自分になーれ!」と応援。

≪みんななりたい自分になーれ!≫
・数年後。奥さんは、行方不明のオーナーを偲びながら、地球での生活を続けることができていた。
・登場人物たちはそれぞれが成功を収めていた。人気作家への返り咲き、役者、取締役、そしてシンガー。
・編集者の早乙女は、デビューCD「なりたい自分になーれ」が500万枚の大ヒット。しかし本当に欲しいのは、奥さんの心だった。

≪エンディング≫
・奥さんに再会し求愛する早乙女。オーナーを忘れられない奥さん。そこに奇跡が起こり、オーナーの姿が…しかしすでにこの世の人ではなく幽霊だった。
・オーナーが幽霊と知った奥さんは態度を豹変。ここぞとばかりに良い所を見せる早乙女。
・早乙女が呼んだ「ゴーストバスターズ」に見事、オーナーは退治され、めでたしめでたし!
・「………じゃねーよ!なんだこの芝居!」の、出川さんのキレ芸で、物語は幕を閉じるのです。さっきまでいい話だったのに!!


  • 各キャストさんについて

メインのキャストは1人1人がキャリアのある方なので、極端な話、いるだけ・しゃべるだけでもかなりの存在感があります。
そんなメンバーが叫んだり歌ったり踊ったりする舞台なので、もうずーっと賑やか!騒がしくないはずがない!
ジャスト2時間くらいの公演時間ですが、もっともっと長い時間を過ごしたような、めまぐるしく密度の濃い空間でした。

♪ハチおじさん/黒野健三:堀内健
・相変わらずのディープなホリケンワールド!もうなんか出てくるだけで面白い。というか、いい意味で存在が怖い。
・この人を見てると、天才と狂気は紙一重だなといつも感じさせられる。実に楽しそうにニコニコと演技されているんだけど、笑いに対する容赦のなさというか貪欲さというか、笑いに対して「徹底している」。やる決めたことは徹底的にやる。その執着が怖くもあります。うん。
・この舞台そのものが、底抜けのあっけらかんとしたギャグの中に、ところどころ不気味なシーンや、社会的にタブーになっているキーワード(覚醒剤とか)がエッセンスになっています。それ自体を風刺と捉えるつもりはないけれど、このブラック感と狂気はどこから来るんだろうと思うと、やっぱりこの人から発信されたものとしか思えない。無邪気の中の怖さ。
・キャラクターとしては今回主に2人。
 「ハチおじさん」=ストーリーテラー。みっくんの父だが、8年前にふとした拍子に命を落とし、それからは幽霊として、ペンション「心のばんそうこう」を見守る守護霊のような存在。オーナーにだけはその姿が見えており、時々無茶振りをする。
 「黒野健三」=ペンションを買い上げようとする大手リゾート会社の代表。たぶんブラック企業だしコワモテの社長みたいな顔して出てくるけど、その実はUNOが好きなピュアなおじさん。側近社員の桐生をいじり倒す。

♪成田昇:出川哲郎
・心に病を抱えた人専門のペンション「心のばんそうこう」オーナーにして「ライフメンタルアドバイザースピリチュアルカウンセラー空手マスター」。空手着で出歩くが、空手はほぼみっくんを制圧するためにしか使ってないし、ライフメンタルアドバイスもスピリチュアルカウンセリングもしてない。たぶん。
・正体は、みな子と駆け落ちしてほかの惑星から飛来した宇宙人。
・ホリケンに日替わりで無茶振りされるモノマネのお題「カチカチナマコ」「迷子のキューピーちゃん」「毒蛇に驚くキューピーちゃん」に全力で取り組む様に涙しました。
・もはや伝統芸の域に達したリアクション芸を見られるだけでも貴重な舞台だと思います。お約束のセリフ「ヤバいよヤバいよヤバいよ!」「お前はバカか!」もきちんと盛り込まれていました。ファンサファンサ。
・ホリケンさんと同様、セリフが飛んでも、噛んでもそれがまた面白い。3回通して見た感じだと、飛んでるセリフがそれぞれ結構あったような笑。前作でも思ったけど、それを笑いに変えてしまうのも実力のうちかも。
・2作目を見てないので断言できないんですが、最終的に出川さんが倒されて「何だこの芝居!」とメタ発言をすることで世界観を閉じるのが、この劇団のお約束なのかもしれない。

♪成田みな子/鹿野バンビ:鈴木砂羽
・出川さん演じる成田昇の妻で、料理上手で明るい女性。しかしてその正体は、M-88星雲の蜂の星から成田と駆け落ちしてきた女王蜂。
・演じている砂羽さん、とてもお綺麗でした。スカートから見える脚が生足で、すっごい白くて透明感ありました。
・踊る場面がたくさんあって、キレキレな動きを披露していました。オープニング(エキゾチック衣装にターバンで妖艶なお姿)→出川さんとのデュエット(昭和アイドルオマージュ歌唱でかわいい)→フラメンコ(本格フラメンコっぽいのに「カレー!」の一言のために踊っただけ感)→正体を現す際の登場ダンス(レディーガガ風でマイクまで出てくるのに、結局歌わない)とか盛りだくさん。
・「カレー作って待ってるねー!…マツタケ、焼けたんだからー!(麦わら帽子を振りながら)」の金麦の壇れいさんのモノマネが細かすぎて、言われるまで伝わらなかった。時々「顔が似ている」といわれるそうです。
・サブキャラとして、林女史にインタビューするアナウンサー・鹿野バンビ(通称シカパン)も演じる。うっかりミスが多く、崖っぷちなのに自意識過剰気味のアナウンサー、良いキャラでした。林女史との女同士の掛け合いがちぐはぐすぎて適度にウザく、取り返しのつかないミスをしてしまった後の(見せられないよ!)な表情、振り切れた女優さんてすごいなーと思った瞬間でした。砂羽さんのフォース覚醒という感じでした。
・正体が明かされるシーンでは、すごい綺麗な、というかものすごく黄色い衣装。というか蜂コスプレ。でも美しい。レディーガガよろしく颯爽と登場しキレのいいダンスを踊り、マイクの前に堂々と立って…決めポーズ!「歌わねえのかよ!!!」とイガラッシュのツッコミが冴える。

♪林美保:伊藤修子
・堀内夜あけの回には全作に出演しているコメディエンヌの伊藤修子さん。もうこの人、存在自体が反則というか、飛び道具というか、奇行種というか、特異点だと思う。しゃべったり表情が動いたりするだけで、僕の心のやらかい場所がザワザワする(褒めてます)。どちらかというとクリーチャー枠(褒めてます)。余人をもって代えがたい、このコメディになくてはならない存在です。もっと評価されるべき。
・役どころとしては、直木賞も取ったことのある人気女流作家。その実スランプで、本当は編集者の愛之助ゴーストライターを務めている。
・「小説の話はヤメテ!○○の話ならいいけど、小説の話はヤメテ!」と叫ぶシーンが繰り返し出てくる。○○に入るのは「共立美容外科」「みすず学苑」「ニャンたま銀太郎」「ジョンベネちゃん」と、微妙に心に引っ掛かるキーワードの数々。
・出川さんとの濃厚ラブシーンは恒例なんでしょうか…。太もも、艶めかしかったです…。
・オープニングダンスでの衣装が結構そのー、デコルテの露出の高いものだったのですが、寝ころんだ時にえーと、胸元が割とはっきり見えてドキドキしちゃいました。
・池岡さん演じるイケメン編集者とデキてる設定(?)。でも不思議と2人を見ていると清らかな感情になります。

早乙女愛之助:池岡亮介
・別項で書きます!なんてったって池岡さん可愛いブログだからね!

桐生順平原慎一
・飛ぶ鳥を落とす勢いの「黒野リゾート」黒野代表の懐刀。上智大学英文科卒、既婚、アメリカン空手の元チャンピオン…と書くと勝ち組一直線としか思えないけど、その実、代表のパワハラ(=学ランを着て変なCMに出演させられる、その続編がまた変、など)に日々耐える苦労人。本当の「なりたい自分」は役者。
・桐生が出演するCMは、「ピアノ売ってちょうだーい♪」のあのCMに酷似。浪人生役の桐生がつらい状況に陥ったときに、どこからともなくタキシード姿のホリケンが現れ「ポロリン♪」とピアノを弾く仕草をすると、耳に馴染んだあのフレーズ、に、良く似ているメロディが流れ、「旅に行こうよ黒野リゾート♪」と、どこかで聞いたことのある伴奏。そして全然リズムに合ってない謎ダンスを披露するホリケンと桐生。むしろそのまま病院いってちょうだーいレベルに狂気を感じる。
・ビジュアルが完全にオッサン(失礼)「よこよこよこよこ横浜ベイ」ののたくるような動きの気持ち悪さ(失礼)は見た人にしかわからないし、それを強要される桐生の悲壮感もすごいんだけど、やらせてるのがホリケンなのでとにかく軽い。何回見ても笑う以外のリアクションがとれないすごい。

♪五十嵐あきひろ(イガラッシュ):鬼頭真也
・ペンション「心のばんそうこう」従業員。エントロピーが増大し続けるストーリーに真顔でナイスツッコミをする、この物語唯一の常識人。かと思いきや、常識人などこの舞台にいるわけがなかった。
・みな子さんにこき使われて睡眠不足の脱サラ従業員にみせかけて、その実態は、カスタネットカレーの旨さの秘密を暴きに来た食品会社の社員。…でも、高笑いとともに正体を明かした割には、その設定かなりサラリと流されていたし、本筋に関係ないので、最後に取締役に昇進して再登場するまで忘れていた。
・ちょっと「民王」の貝原君にイメージが似ている。主にツッコミのスピード的な意味で。ツッコミの絶妙さとタイミングは、コントの間合いそのもの。
・笑いの安定感が抜群でしかもハンサムさんだったので、演技の上手な芸人さんなのか?お笑いもできる俳優さんなのか?と悩み、wiki先生に質問したところ、「日本の俳優、お笑い芸人」と出てきました。両方本業のようです。
・どうやら伊藤修子さんとはティッシュ配りのアルバイト途中に知り合ったらしく、ゆえに今回、ティッシュ配りのアルバイトをしている林女史と恋に落ちる描写があった模様。本当だったらすごい。

♪清水みつお(みっくん):THE石原
覚醒剤依存とギャンブル依存のため、「心のばんそうこう」で治療中。禁断症状、妄想、幻覚に悩まされているが、実はすでに薬は抜けており、ペンションに居続けたいために症状を偽っていたことが終盤で明らかに。
・伊藤さんと並んで「夜あけの会」3回連続出演とあってお馴染みのキャストさん。お笑い芸人さんだけあって声が大きく、体当たりのギャグ(時に理解不能)をかましたりととにかく明るいのですが、なぜかその裏にゾッとするような不気味さもある。笑いに満ちていてもどこか幻想的で、ときに狂気が見え隠れするこの劇団の空気作りには重要な存在なんだろうなと思います。伊藤修子さんもしかり。
・中盤、人形劇の人形になって山に吊るされるため、後半ほとんど登場しない。なぜ。


  • 新・三大「池岡さん可愛い」(怒り○党風に)

※今更言うまでもないですが、書いた人は「池岡さん可愛い」しか言えない病に罹患していますのでそのおつもりで。

≪その1.役柄について≫
・まず有権者に訴えたいのは、今回の役柄が「元歌舞伎町№1ホストで、林女史に水揚げされて編集者勤務になった若者」だということ。ホスト時代の一日の最高売り上げは2500〜2600万円。その面影は今も色濃く残っており、美女がいれば「御指名ありがとうございます」と跪き、「わっしょい」「ポッキー!」「ハフゥン」「フヒッ…」などの独特の言葉遣いをする。…「フヒッ」はホスト語なのかどうかは知らないです。
・役名は「早乙女愛之助」。名前の由来はたぶんというかモロに歌舞伎役者の早乙女太一さんと片岡愛之助さん。
・「御指名ありがとうございます。集○社の、早乙女…んっ、んっ、んっ、んっ、愛之助です」と颯爽と名刺を差し出すまでのフリが長い。騎馬ステップを踏まないと名乗れない。名刺を掲げたドヤ顔がドヤ顔でドヤ岡(落ち着きましょう。)
・「♪先生には〜、この人里離れたペンションで〜、自然と僕に癒されながら〜、執筆活動に専念を〜…していただきたいと思っています」の辺で、かろうじて耐えていた腹筋がついに崩壊する。
・空手マスターをも打ち破る必殺技は「ラブダイナマイトアタック」「シャンパンタワーなんとか(うろ覚え)」「愛のマスカルポーネ」「永久アフターケア」。何を言っているかわからないと思うが本当にそういう技が繰り出されたんだ。これがまた強かったんだ。技を繰り出しながら本人も痙攣するくらい強い技だったんだ。
・お笑い界のレジェンドのような面々に囲まれながら、しっかり喰らいついて笑いを取る池岡さんがまぶしかったです。池岡さんが会場の空気を担う、むしろ支配する勢いを持った瞬間もたくさんありました。それが嬉しい。あれだけの鉄壁のキャストの中で自分を出させてもらえることがありがたい。
・今までなかなか無かった「チャラ男」という役どころで、程よくチャラく、甘く、それでいて嫌味を出しすぎず、コメディの登場人物としてきちんと機能していたと思います。
・恍惚と自己陶酔した表情も、のびのびと歌う姿も、どうあがいても可愛い。
・「真顔で変なことをやる滑稽さ」は池岡さんの十八番のようなもので、これがうまくはまる時とそうでない時、というのが正直あるのですが、今回とてもよかった!登場人物、この場合は愛之助自身が真面目にやっていることが、はたから見たらただの喜劇、という構造が活きていました。
・今回の池岡さん、いつもに増しておめめがキラキラで(そしてタレていて)、鼻筋がスッとしてて、唇が綺麗に薄くて、前よりスリムになってて、正直なんかちょっと…若返った?若さの泉見つけちゃった?とか変な疑惑を抱きましたが、おそらく「夕陽伝」でムッキムキについた筋肉がほどよく落ちたのでしょう。お酒好きが高じて体型に影響が出たらちょっとな、とか思っていたけどいらん杞憂でした。すみません。
・上腕〜背中にかけての筋肉の付き方が理想。とにかく無駄な肉がなくて全体的に薄いので、服を着ていると筋肉質な印象を受けないのですが、脱いだらしなやかな細マッチョです。控えめに言って最高です。
・そして相変わらず体毛が薄い。薄すぎる。日本男児の体毛たるものそんなんでいいと思っているのか。私はいいけど。すみません。
・靴を脱いだ時の足の甲の薄さが軽くマーメイド。
・相変わらず無駄にいい声。イケボなのにイケボ極めきれてないというか、イケボによって笑いが生まれる感じがまたよし。
・今回のホスト役、これでもか!というくらいにファンの悩殺にかかっていて、まんまと口説き落とされたわけですが。もしこんなホストがいたらドンペリ何本でも入れてやるよ!あなたのために馬車馬のように働いて金稼ぐよ!!な気持ちにされたわけですが。それはそれとして、もともとのファンでない方の目にどう映ったのかとても興味があります。
・思い返せばこれまで、「イケメン枠」での起用であっても、純粋な「イケメンの役」を演じることが少なかったので(女性とかホモとかオカマとか狂気の悪役とか、極端な役が多い)、「色男」と呼ばれるキャラクターは新鮮でした。
・前作に続き「こんな役もできるんだな、もらえるんだな」という可能性を広げてくれる「夜あけの会」に感謝です。

≪2.弾きます、歌います、踊ります≫
・「実は編集者ではなくシンガーになりたい」という夢を持っていることをオーナーに打ち明けると、どこからともなく現れるアコースティックギター、そしてそれをつま弾く早乙女。
・初心者状態から練習したというギターは、素人目にはちゃんと普通に弾けててびっくり。かなりやり込んだのかな。「タコ女」のシゲル君はさえないギタリストだったねそういえば。ちゃんとつながっているんですね!?
・歌声もうますぎず下手すぎず(すみません)むしろ私の大好物ヘタウマの領域。
・スローテンポの甘い声で「♪小さなころはウルトラマンになりたくて、でもなれなくて…カワイイあの子に告白したくて、でもできなくて、ふがいない自分をあきらめていた…」からの、「バンバンバンバン!」とギターのボディをたたいてアップテンポのロックに!
・これがまた普通にいい歌で「何にだってなれるのさ」「大丈夫さ、きっとなれる(FUWA!FUWA!)」のところは不覚にも琴線に触れました。不覚にも泣きそうになりました。ストレス社会で闘う我々にとってGABAみたいに沁みました。
・「○○になりたい!」の連呼が続き、キャスト陣をバックコーラスに従えて、ギターをかき鳴らしながら楽しそうに歌う歌う。歌ってるときの表情がキラキラしてて、本当に夢を追うシンガーみたいでした。
・「なりたい自分に!なりたい自分に!なりたい自分になーれ!」の力強さよかったです。シングル早く出してください。
・ところで「○○になりたい!」の○○に入るのが、「チンピラ、ホームレス、フリーター、ルポライター、ごくつぶし」…などなどだったのが却ってアイロニックで深いなと思ったり思わなかったり。

≪3.印象に残ったシーンなど≫
・砂羽さん演じるみな子を口説き落としにかかるシーンでは、池岡さんファンと思しき方々が一様にバッと口を押さえてました。私も同じです。何かが出そうでした。吐血かな?ってくらいこみ上げてくるものがありました。たぶん人知を超えたものを観た時の反応はみな共通なんですね。尊い
・「御指名ありがとうございます」「ハフゥン」「わっしょい」を無駄にいい声でささやかれる。「わっしょい」の時だけ何故かエコーのエフェクトかかってる。何故。
・みな子「ホストやってー♪」からの「カッチカチー♪」と腕の筋肉をパンチ→愛之助「カッチカチやぞ」がえろい。
・林女史が「早乙女は私が歌舞伎町から水揚げしたのよ」→みな子「えー?じゃあ、早乙女君はぁー、お魚さん?」→愛之助「奥さん、今晩のおかずは、粋のいい魚でどうですか(えろい)」→みな子「ぎょぎょぎょぴーっ!」の流れは含み笑いなしに観られない。「ゴフッ」つってなんか変なものが出ました。たぶん何回目かの吐血。もしくはL5発症してる。
・タンクトップ姿で倒れこむシーンでは、みな子に介抱されながら「まあ、なんて良いお尻!」と言われるくらい、ヒップラインが綺麗。みな子がヒップから脚にかけてマッサージするところはPG-12あたり指定した方がいいのでは?といらん心配をしてしまうくらいにはヒップラインが綺麗。そして、エアとはいえ「指が肛*に入ってる…!」のセリフはアリなんですか出川さん。
・出川さんと一緒に空手の型を繰り返す姿は萌えと言わざるを得ない。そこに現れた林女史が、執筆中の官能小説「テツロウとリョウスケがとある大学のミスキャンパスを強引にトイレに押し込みスカートをめくりあげて『ほう、これは良いオチョメチョメ』…」を読み上げて妨害し、池岡さんがガチで吹き出すさまは、「私、こんなときどういう顔していいかわからないの」みたいな顔になりました。笑えばいいと思うよ。
・林女史とデキてるかと思いきやその実ゴーストライターなわけですが、圧倒的な外見(婉曲表現)の女史に金の力で囲われてる感すごくて背徳的。そしてねだられるままに林女史の口元にジュースのストローをお小姓さんよろしく運ぶわけですが、飲んでる間中凝視されていて、おそらく本気で耐えられなくなってぶるぶる震えながら視線を外すシーンは追加料金払ってもいいから何回でも見たい。萌え以外の何物でもない。「舞台上で耐え切れずに本気で笑ってしまう池岡さん」というくだりはコメディ出演時はだいたい1回は盛り込まれている気がします。GJ。
・「文才を買われてゴーストライターをしているのは、頭の中に3人のこびとさんがいて、自由にお話を作ってくれるからさ!」という結構な不思議ちゃん。3人のこびとの名前は、ピンピン(原さん)、ポンちゃん(伊藤さん)、パン君(堀内さん)。「ポンちゃん」という名前が池岡さんの口から出たことにロマンティックが止まらない。どこからともなく可愛い帽子をかぶって出てくる3人のこびと(可愛くはない)に、出川さんがお題を与えて即興で物語を作らせるのが日替わりシーン。
・この即興物語の出来がとにかくひどいwww お題自体が「GW爆発」「風の谷のナウジカ」「藤原紀香物語」とか料理のしようのないものな上、オチのホリケンが全部「ボーンドカーン」で締める。締まらないままに退場。
・ドラマ妄想シーンでは林女史演じるイ・ボミボミの恋人、大学生のハジメ役。うふふあははないちゃいちゃシーンはなぜか清らかな気持ちになる。
・終盤近くで、夢を叶えて大ヒットシンガーになったものの「それでも、俺はなりたい自分にはなれていない…。俺の『なりたい自分』は、あなたの、一番になること…」の台詞が切ない。その後、みな子未亡人と再会し、「もう昇のことはいいじゃないか!」と抱きしめる様はさながら昼ドラ。
・そして怒涛のオチ。クライマックスの熱い展開を引き出すのも彼なら、出川さんに引導を渡すのも彼なんですね。この構造は前作がしのばれる。


≪おまけ.衣装について≫
今回、華麗なる衣装チェンジが多くて楽しかった!
 ♪オープニングダンス→キラキラエナメルのシルバースーツに緑のフリルシャツ、白とピンクの猫耳競艇のCMからの連想と、もしかして池岡さんが白猫プロジェクトやってるから?)。ファッションショーのようなモデル歩きで登場し、終始真顔でキレキレのダンスを踊る池岡さん素敵すぎました。真顔ダンスと言えば「ロマンス2015」思い出すなー。池岡さんのダンス、いつも遠目から見てもわかる独特のテンポ感と体の使い方なんですが、今回も遺憾なく発揮されていました。
 ♪登場時→光沢グレーのストライプ柄スーツ。赤のテラテラのシャツに、スカーフ柄ネクタイ(エル○スとかそんな感じの)、ピカピカのとんがり革靴。そして無造作くしゅくしゅヘア。
 ♪ペンションのシーン(1)→バラ柄のアロハシャツ姿。しまむらの婦人服売り場で打っていそうなバラのシャツなのに着こなしてる。
 ♪ペンションのシーン(2)→黒のタンクトップ姿。細くて薄いくせに肩周りの筋肉ぼこぼこしていてFUUUUUUUUU!!!となります。
 ♪ドラマ妄想シーン→青いカーディガンと黒縁メガネで大学生ルック。適度にダサくて、それがまた背徳的(え)でよいです。
 ♪ラスト→スーツに赤シャツ、ベスト。ベストの腰回り絞りすぎ細すぎで目のやり場に困りました。

  • まとめ

ゴールデンウィーク、風薫る5月を迎えるのにふさわしい、明るく楽しい舞台鑑賞になりました。
各種CMのパロディが甚だしかったせいで、テレビでそのCMみかけるたびに「楽しかったなー」と思い出がよぎります。
DVD化を全力で期待してます!

  • 完全に余談ですが。

今回、このレポを書いたのが大型連休中ということもあり、わたくしが池岡亮介という世界に転がり落ちるすべてのはじまりとなった、テニミュドリライ2011のDVDをエンドレスリピートしていました。
まだテニミュ以外にほとんどキャリアを持たないキラキラした池岡さんの姿をぼーっと見ながら、4年半という月日の重さにふと涙しました。
4年半といったらあれですよ、当時テニス部所属の中学2年生だった海堂薫が中学2年生になるほどの……もとい、光クラブでライチの顔を縫い、高校生になってサッカー部を立ち上げ、超能力で兄の仇を討ち、天神小学校で怨念に取りつかれ、男子新体操で友情を分かち合い、水泳和歌山国体で男と恋におち、タイムリープの能力を持った大学生になり、時には伯爵令嬢になったり異形の剣使いになったり繭期に入ったりシャブ漬けになったりしながら、やがて新宿歌舞伎町でのし上がるまでという気の遠くなるような時間です。
現場での応援を始めてもうすぐ4年になりますが、役の数だけ涙を数えてます。
ぼちぼちと不定期に書いているこのブログも3年が経過したようです。
最初から今まで「池岡さん可愛い」を言葉を変えて言い続けているだけにすぎませんが、たぶんこれからも言い続けると思います。
今回も素敵な時間をありがとう。忘れないよ、愛のマスカルポーネ


P.S 今回の台詞にあった「ホスト」と「マスカルポーネ」の関係がどうしてもわからず、グーグル先生にお知恵を拝借したところ、「ロイヤルホスト冬のデザート 林檎とパイのパルフェ」が出てきました。おいしそうでした。結局マスカルポーネはなんだったんだろう。